こんにちは!
上野でやっている浮世絵展。展覧会名が「日本三大浮世絵コレクション」
すごい。このタイトルに世界の浮世絵界をしょってたつプライドを感じます。
こころして見に行こう。
浮世絵を初めて見る方には、浮世絵の歴史もわかってしまう素晴らしい時間になると思います!
いざ、行かん。うえのへ。
行く前にやっておくこと
会場や期間は?
The UKIYO-E 2020 ― 日本三大浮世絵コレクション
会 期:2020年7月23日(木・祝)~9月22日(火・祝)
※前期7月23日(木・祝)~ 8月23日(日)、後期8月25日(火)~ 9月22日(火・祝)
開館時間:9:30~17:30
入館は閉館の30分前まで
休館日:8月17日(月)、24日(月)、9月7日(月)、14日(月)
会 場:東京都美術館 企画展示室(東京都台東区上野公園8-36)
チケットの予約や取り方は?料金の詳細
日にちによって発売期間が決められていますね。
私は当日の朝に、13時10分からの回を取りました。
公式オンラインチケットのみ。 手数料無料
料 金:一般 1,600円
大学生・専門学校生:1,300円
高校生:800円
65歳以上:1,000円
当日の会場レビュー
暑い日の上野公園を横切ろうとして、間違えて違う美術館の方へ行ってしまいました。
上野動物園近くでした!
さすが、450点の作品展数を誇るだけあって、ちゃんと見ようと思うと時間がかかります。
3時間くらいかかるかな〜。もっとか。
ちゃんとごはん食べて、水分取ってから冷房対策に羽織るものを一枚持っていきましょう。
「日本三大浮世絵コレクション」見どころ紹介
最初から見進めていくと、浮世絵の祖・菱川師宣から、鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川豊国、歌川広重、歌川国芳まで、浮世絵の歴史の流れがわかるようになっていて、さすがのコレクション点数。
冒頭の説明にもあるように、何年も前から議論と検討を重ねたというのもなっとくの充実ぶりです。
ここまでそろったことに、感動のとりはだ。
浮世絵て何?
江戸時代、戦乱の世が終わり、徳川幕府、平和な世の中になってきて、だんだんと庶民の間にも生活を楽しむゆとりが生まれてきた中で、出版された本につけられた絵が浮世絵となっていきました。最初は墨一色だったそうです。『浮世の絵』とは今現在を生きている人たちの絵ということ。肉筆画と版画で展開していったのですね。
見どころ① 初期の浮世絵から成熟していく過程が見られる
墨一色の絵で始まる会場。
浮世絵の祖と言われる菱川師宣は圧倒的人気があり、後々まで色々な絵師に影響を与えたようです。見返り美人の人ですね。
奥村政信などは、ある対象を別のものに置き換えて表現し、その機知に富んだ発想を楽しむという、見たて絵、やつし絵と呼ばれる絵を墨一色でも沢山残しています。
それは古典の説話やイメージになぞらえた現代の人物画を描いたもので、その後も色々な絵師にずっと使われる手法ですね。
歌舞伎の役者絵なども、フルカラー版画になるまで、墨一色から筆で紅や膠を重ねるなど試行錯誤していたものが並んでいます。重ねてある色も面白いです。
やがてフルカラー版画を世に生み出した錦絵の鈴木春信が出てくると、それまでの人物の表情や情景描写などの表現が、ぱーっと華やいで繊細になり、面白くなります。それまでは荒い線の絵だったものが、繊細な絵画になったよう。
フルカラーになったのはお金持ちの旗本が贅沢な絵暦を制作して、それを交換し合うというところから始まったとか。
紙の厚みなども趣向を凝らしていたみたいです。
贅沢な特殊紙加工ありの多色刷り印刷ですね。お金をかけまくって、作るのも楽しそうです!
可愛らしく、見立てのヒントが絵の中にたくさん仕掛けてある鈴木春信の錦絵は様々な階層の人に大人気で、すっごく売れたそうです。
ほんとに可愛らしくて、一枚の絵の中に物語が描かれているような詩的な感じがします。少女漫画とか、映画のようです。
見どころ②あっと驚く新しい表現
写楽の大首絵に、美人画・役者絵
今回いちばん度肝を抜かれたのは、第三章の美人画・役者絵の展開の部の、ずらりと並んだ東州斎写楽の大首絵。印刷ではない本物の版画をこんなにいっぱい見たのは初めて。印刷物ではわからない微細な陰影が、口元や、目や、鼻筋を浮き立たせるようにふわりと見えます。こんなに少ない線なのにすごく写実的というか、魂が乗ってる感じなのです。ぞくりとするような、怖さを感じました。すごい。生きてる!
ここだけでも必見です。
あとでもどってきてもう一回見ようと思っていたのに、エスカレーターをあがってしまったら、一方通行で戻ってこれなかった。気になる絵は気が済むまで見てください!
また、喜多川歌麿の歌舞伎役者や美人画がずらり勢ぞろい。大首絵を中心にたくさんの美女を見られて、その色っぽさに見ほれます。
眉毛のない恋する人妻や、妄想する少女など、服装やお化粧やほつれ毛の表現など髪の形もみんな違う。
花魁のかんざしも、沢山挿してあって頭が重そうです。
人妻、独身、職業も様々な女性が描かれていたのですね。
細かいことまで調べてみたら、色々面白いですね。
見どころ③浮世絵のスターの描く世界
浮世絵といえば真っ先に思い浮かぶ大スターたち。葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳たちの描く圧倒的世界。北斎や広重の描く風景画が同時に見られます。
富嶽三十六景の大波(船にしがみついている小さな人が可愛い)、諸国瀧廻りの瀧や、つり橋など、人物や動物なども表情豊かに躍動的に表現された画力に、浮世絵の技術がここに極まっているのを感じ取れます。ここが日本の絵画の頂点なんでは…なんて思ってしまう。
歌川国芳に至っては、西洋絵画の研究もしているということですが、題材が妖怪だったり冒険奇譚物だったり、人物の表情も陰影がついていたり、あらゆる工夫がされていて、もはや浮世絵の概念からはみ出しまくってます。
見どころ④版元・蔦屋重三郎の存在
プロデューサーである版元の存在、蔦屋重三郎も見逃せません。
歌麿の大首美人絵も、写楽も北斎も蔦重が世に送り出したという生みの親。すごい眼力です。
彼の周りには浮世絵のみならず、曲亭馬琴や十返舎一九など、常に才能ある人材が集まっていたといいます。
浮世絵は広告の役割も果たしていたといいますから、蔦重は、広告代理店社長、出版社社長にして敏腕プロデューサー?やり手ですね〜!この時代の出版文化を作り出し、大きなお金も動いたことでしょう。
テレビもネットも電話も映画もラジオもないこの時代に、浮世絵はどれほどのエンターテイメントの役割を果たしていたのでしょうか。
庶民の生活の中で、新しい出版物が出るのを楽しみにしていたに違いありません。
見終わっての感想
すごい見応え。浮世絵の始まりというものがはっきり「ここだよ」と示されていて、その後見ていくと、浮世絵の歴史が見て取れるのに加え、どんどん技術が磨かれていくのがわかります。
これだけの点数を一挙に集められたからこその展示でした。
日本三大浮世絵コレクションという名前に納得です。
その絵が描かれた時代の流行りの風俗とか、事件とか、知りたくなってしまいます。
もっとじっくり見たいと思ったのですが、体力の限界がありました。
途中で休憩できる喫茶室とかあると一日いられますね〜。
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