2025年のNHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺~」は、江戸のメディア王・蔦屋重三郎(つたやじゅうざぶろう)の生涯を描いた物語です。
今回は蔦屋重三郎のいた18世紀の江戸時代とは、どんな時代だったのか、蔦屋はそこで何をした人だったのかをキャストと合わせてみていきます。
蔦屋重三郎の生まれた江戸とはどんな時代?
江戸時代は1603年(慶長8年)〜1868年(慶応4年)の約260年間です。
徳川家康が征夷大将軍となって江戸に幕府を開いてから、大政奉還が行われ幕府が崩壊するまでの徳川の将軍の人数は15人になります。
ここでは蔦屋重三郎のいた時代が江戸時代のどの年代なのか、時代背景を見て行きます。
蔦屋重三郎は吉原生まれの吉原育ち
蔦屋重三郎は18世紀の江戸時代、1750年(寛延3年)に吉原で生まれます。
父は尾張から江戸に出てきて遊郭づとめの丸山重助、母は江戸の広瀬津与。
ふたりは吉原で所帯をもちますが、7歳の時に離婚し、同じく吉原で引き手茶屋を営んでいた叔父の喜多川氏に引き取られ養子となっています。
蔦重の本名は「喜多川珂理」(きたがわからまる)といい、蔦屋重三郎は通名です。
2025年の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の、主演の蔦屋重三郎役は横浜流星さんです。
蔦重は1774年(安永3年)24歳の時に本屋業をはじめます。
場所は義理の兄が営む引き手茶屋の店先を借りて、吉原の大門を出て四軒目だったと言います。
本を背負って吉原で貸し歩きながらコツコツと人脈を作り、世に出るタイミングを見計らっていました。
そして吉原の遊女から廓までの案内所「吉原細見」で頭角をあらわします。
「吉原細見」は吉原のガイドブックだね。
遊女の格付けや着物なんかも載っていて、女の人も買っていたみたいですね。
田沼意次の好景気に沸く江戸の1783年(天明3年)には一等地の日本橋に「耕書堂」というりっぱな自分の店を構えます。
「蔦重」は、狂歌、洒落本、黄表紙、錦絵、艶本(春画)などを扱い、新しい作家や絵師を見つけ育て上げ、次々とヒット作を生み出していき出版業にとどまらない江戸後期の時代を作ったとされ、江戸のメディア王と呼ばれています。
1797年(寛延9年)に48歳で亡くなったとされています。
蔦重のいた江戸時代とは
蔦屋重三郎の生まれた、1750年(寛延3年)の時の将軍は、体が弱く言語障害があったという徳川家重。
そして家重の息子で、徳川吉宗の孫である徳川家治(いえはる)が1760年(宝暦10年)に第10代将軍になり、もと足軽で大変優秀だった田沼意次を重用します。
家治が1767年(明和4年)に田沼意次を側用人として重用すると、通貨改革や新田開発、海外貿易などを推し進め、江戸の町には品物や金がまわり、好景気になって行きます。
この頃は裕福な人が増えて、子供を寺子屋に入れる親も多かったそうです。
読み書きができる人が増えたら、本屋も儲かりますね。
バブルの好景気・田沼意次の時代
2025年の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」で、田沼意次役は渡辺謙さんです。
田沼は1772年(明和9年・安永元年)には老中になり、政治の実験をにぎっています。
「賄賂政治」と呼ばれる田沼意次の時代ですが、それまでの「農業主義」から、貿易を通して金や銀など富を増やし、市場に富が回るようにする「重商主義政策」を取ります。
幕府公認の同業者同士の組合「株仲間」や、租税の一種「運上」を徴収するなど、幕府に継続してお金が回るようになります。
金を持った商人がますます裕福になる時代。
日々の接待で吉原にもどんどんお金が落ちていったそうで、蔦屋もその中にいた人でした。
この時代に歌舞伎や浮世絵などの江戸文化が花開いていきます。
田沼意次はすばらしく優秀だっただけじゃなくすごいイケメンだったらしいです。
だから妬みを買っちゃったのかな〜。
賄賂政治と悪名高い田沼意次ですが、蝦夷地(北海道)の開拓や、高山の開発、外国貿易の拡大なども行っています。
貨幣経済の発達した世の中を作り、豊かな江戸の文化を築き上げて行ったのですね。
飢饉と火事も多かった
華やかで金回りのいい田沼意次の時代は、天変地異の多い時代でもありました。
田沼意次の政治は商人の間でばかりお金が回り、その一方で農村の利益は薄く人口が減り、格差が広がって困窮していきます。
江戸時代は格差社会!?
その結果、農民が田畑を放棄して都市部へ流れ込み、打ちこわしや百姓一揆が起こります。
・1772年(安永元年)に明和の江戸大火
・1782年(天明2年)〜1788年(天明8年)に天明の大飢饉(5年間続く)
・1783年(天明3年)7月:浅間山の大噴火で死者2万人
浅間山の大噴火の後には冷害がおこり、5年にわたる「天明の大飢饉」が起きてしまいます。
「天明の大飢饉」の被害は深刻で、浅間山の噴火により火山灰で田畑が覆われ、冷害による飢餓と疫病が蔓延し最終的に90万人の人が亡くなったと言われています。
江戸は華やかなのに、農村では食べるものがなくなって餓死…。
白いご飯が食べられるからと言われて、口減らしに遊郭に売られる女の子が多かったんだね…。
この飢饉により日本全国で食料がなくなり、農民が農村を捨てて江戸や大阪などの大都市に集まります。
当然治安は悪くなり、田沼意次の政治が非難を浴びるようになっていきます。
この災害の時に飢饉を救うべく大活躍したのが、当時白河藩主になったばかりの松平定信で、その手腕が江戸でも評判になり、飢餓対策に遅れをとったことがきっかけで田沼意次は失脚します。
松平定信の倹約時代に発禁処分?
松平定信(1759年(宝暦8年)〜1829年(文政12年)は1787年(天明7年)6月、田沼意次と入れ替わりに老中首座に抜擢され権力を握ります。
田沼政治の反動で、貨幣経済重視だった「重商主義」から、農業重視の「重農主義」へ切り替え、大飢饉に備えて食料の備蓄を行い、江戸に溢れている農民を荒廃してしまった農村に帰します。
そして松平定信は、飢饉など災害対策のための緊縮財政と、江戸の町の風紀の取り締まりに乗り出します。
嫌な予感。。
江戸の庶民に対しても贅沢を厳しく取締り、着物の色まで規制されます。
武芸と学問を奨励し、遊里での男女のあれこれを描いた洒落本や、世相や風俗を描写した黄表紙などは風紀をみだすとして発禁処分、また蘭学者の追放などを行いました。
幕府を批判するような情報や思想統制に力を入れ、出版の取り締まりを強化したのです。
商人がのさばるのが良くないと考えて、武家社会の権威を取り戻そうとしたんだね。
この時に蔦屋重三郎も財産を半分持っていかれるという処罰を受けています。
しまちゃん
やることが極端だね。。
しかし、すでに広く貨幣経済が広まっていた江戸の人々は、ぜいたくを厳しく取り締まる「倹約令」に不満をもち、幕府の権威を守ろうと庶民を弾圧する政治は失敗に終わります。
結局、松平定信も失脚することになります。
この時に江戸庶民が詠んだ狂歌があります。
「白河の清きに魚も住みかねて もとの濁りの田沼恋しき」
賄賂で腐敗した政治だったとしても、豊かで文化も花開いていた田沼の時代が恋しいなあという意味ですって。。
蔦屋重三郎の反骨精神
蔦屋重三郎が東洲斎写楽を売り出したのは、発禁処分に会い財産が半分没収されたあとなのです。
本の力で世の中を変えるという気持ちを持ち続けた蔦重。
お上の言うことなんか聞いてられるか!という気概が伝わってきますね。
2025年NHK大河ドラマ「べらぼう」キャストとあらすじ
2025年のNHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺~」は、江戸のメディア王・蔦屋重三郎(つたやじゅうざぶろう)の生涯を描いた物語です。
主演は横浜流星さんで、初回は2025念1月5日からスタート。
続々とキャストが発表され、順調に撮影をされているもようです。
#大河べらぼう は5月に関東近郊で収録が始まり、このたび京都で #横浜流星 さんがクランクインしました。
東本願寺や智積院、光明寺、松竹撮影所など京都各所で行ったロケの様子です📸
場面写真、あと2枚あります👇https://t.co/xW2u80m8OA pic.twitter.com/c4YsSp8Md4
— 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」1/5放送開始 (@berabou_nhk) June 21, 2024
「べらぼう」キャスト
・蔦屋重三郎(つたや・じゅうざぶろう)…横浜流星
江戸の本屋業を文化発信のメディアとして昇華させた。
吉原で生まれ育ち、数多くの作家や絵師を育てた。
・田沼意次(たぬま・おきつぐ)…渡辺謙
足軽から老中に上りつめ、日本に貨幣経済を画策した時の権力者。
商人中心の経済による好景気で、江戸文化が花開いた。
・田沼意知(たぬま・おきとも)…宮沢氷魚
田沼意次の嫡男。
若くして父の後継者として活躍するも、非業の死をとげる。
・喜多川歌麿(きたがわ・うたまろ)…染谷将太
蔦屋重三郎に絵の才能を見出され、育てられる天才絵師。
・鱗形屋孫兵衛(うろこがたや・まごべえ)…片岡愛之助
日本橋に構える蔦重に本屋稼業の商売を指南するが、のちに失脚。
・花の井(五代目瀬川)(はなのい・ごだいめせがわ)…小芝風花
松葉屋の老舗妓楼の代表的遊女で蔦重の幼馴染。
伝説の遊女の名「瀬川」を継ぐ、悲劇の女性。
・次郎兵衛(じろべえ)…中村 蒼
蔦重を育てた吉原の引き手茶屋の実子で、蔦重の義理の兄。
粋なおしゃれ好きな放蕩息子。
・田安賢丸・松平定信(たやす・まさまる・まつだいらさだのぶ)…寺田心
田沼意次の失脚後に老中になり、寛政の改革で江戸の風紀を取り締まる。
次々にキャストが発表されて、撮影も順調のようです。
意外なキャストだったり、これは!と思う人選だったりと目が話せません。
18世紀の江戸時代は、近世にあたり遠いような近いような時代です。
資料もたくさん残っていますので、この時代の小物や建物の内装、家具、もちろん着物も気になります。
#大河べらぼう 、本日も鋭意収録中です。
放送まであと【180日】!💪 https://t.co/zLG3EaLOwU pic.twitter.com/CPpbRvA9ib
— 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」1/5放送開始 (@berabou_nhk) July 9, 2024
「べらぼう」あらすじ
舞台は人口100万人を超す一大都市江戸。
貨幣経済をもって、商人の時代を築いた田沼意次のもと江戸文化が花開く。
吉原に生まれ、吉原で育った蔦屋重三郎は貸本屋から身を起こし、吉原での人脈をフルに使い、出版業をはじめ成功していく。
多くの文化人を育て、ヒット作を連発し、「蔦重」は時の人となっていく。
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しかし時は移り、田沼失脚と入れ替わり権力者となった松平定信は、贅沢を禁じ次々と出版物を取り締まっていく。
当然、多くの作家や蔦屋重三郎も処罰の対象となり、幕府からの弾圧を受けるが、お上の言うことに黙って従う蔦重ではなかった。
今までにない大掛かりな仕掛けで、世間をあっと言わせる…!
表現の自由を奪われないために、筆の力で戦った江戸時代の勇者だったんだね!
誰がどうなっちゃうのか今からドキドキしますね。
べらぼう【2025大河】あらすじキャスト時代背景まとめ
2025年のNHKの大河ドラマは「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」。
横浜流星さんが主演で、2025年1月5日放送開始です。
大河ドラマ「べらぼう」が史実に基づいたストーリーということで、今回は蔦屋重三郎の生きていた江戸の時代背景を追ってきました。
今とは違い、電気がないので夜は真っ暗、となりの県へ行くのも庶民は歩きという時代。
当然テレビもラジオもインターネットも、新聞すらないこの時代に、蔦屋重三郎は「本屋」としてどうやって生きていたのか?
本屋という出版業の価値を、情報・娯楽・教養にいたるまでマルチメディアにまで高めた蔦屋の生涯と、吉原を舞台に渦巻く、業の深い人間たちの生きざまなど、どう描かれるのかとても気になります!
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